徒手療法大学 名古屋校 神経マニピュレーション実技実習レポート

本日、徒手療法大学名古屋校では、神経マニピュレーションの実技実習が行われました。今回の実習は、特に末梢神経の機能不全に焦点を当て、その評価と治療技術の習得を目指しました。参加された生徒の皆さんは、非常に熱心に技術習得に取り組んでいました。

実習の主なテーマと深掘り

今回の実習では、以下の主要な神経とその関連症状、圧迫部位、治療法について深く学びました。

1. 伏在神経(膝蓋下枝、縫工枝)

  • 圧迫されることによって現れる症状: 伏在神経の圧迫は、大腿内側から膝蓋骨周辺、脛骨の内側にかけてのしびれや痛みとして現れることが多いです。特に膝蓋下枝の圧迫では、膝の内側や膝蓋骨の下部に局所的な痛みや感覚異常が生じ、縫工枝の圧迫では、大腿内側や鼠径部の不快感、感覚鈍麻が見られます。
  • 圧迫の好発部位とその見つけ方(触診): 伏在神経は、ハンター管(大腿内転筋管)での絞扼が好発部位です。触診では、大腿内側の中央から膝の内側にかけて、伏在神経の走行に沿って丁寧に触れていきます。特に、ハンター管の出口付近や、縫工筋と内転筋の間の隙間を丹念に触診し、圧痛や硬結の有無を確認します。膝蓋下枝は膝蓋骨内側の下方に沿って触診します。
  • 圧迫を改善させるための治療法: 神経の滑走性を高めるための神経モビライゼーションや、周囲の筋(特に縫工筋や内転筋群)のリリースが有効です。また、ハンター管の狭窄を引き起こす要因となっている筋の緊張を緩和させる手技や、股関節の可動域改善も重要になります。

2. 閉鎖神経(前枝、後枝)

  • 圧迫されることによって現れる症状: 閉鎖神経の圧迫は、股関節の内側、大腿内側の痛みやしびれを引き起こします。前枝の圧迫では大腿内側の感覚異常や内転筋の筋力低下が顕著であり、後枝の圧迫では膝関節の内側や後方の深部痛が生じることがあります。
  • 圧迫の好発部位とその見つけ方(触診): 閉鎖神経は、骨盤内の閉鎖管を通過する際に圧迫を受けやすいです。触診は深部に位置するため困難ですが、恥骨結合の外側から大腿内転筋群の間を注意深く触診し、圧痛や関連痛の有無を確認します。股関節の内転動作時に関連痛が増強するかどうかも重要な指標となります。
  • 圧迫を改善させるための治療法: 骨盤底筋群のリリースや、内転筋群の過緊張を緩和する手技が中心となります。閉鎖管周囲の組織の滑走性を改善させるアプローチや、股関節のインバランスを是正する運動療法も効果的です。

3. 脛骨神経(外側足底神経、内側足底神経)

  • 圧迫されることによって現れる症状: 脛骨神経の圧迫は、足底の痛み、しびれ、灼熱感として現れることが多く、特に足底筋膜炎や足根管症候群と混同されることがあります。内側足底神経の圧迫は足の内側アーチや母趾球に症状が出やすく、外側足底神経の圧迫は足底の外側や小趾球に症状が出やすい傾向があります。
  • 圧迫の好発部位とその見つけ方(触診): 脛骨神経は、足関節内側の足根管での絞扼が最も一般的です。触診では、内くるぶしの後下方にある足根管を丁寧に触れ、圧痛やティネルサイン(神経を叩くと放散痛が生じる)の有無を確認します。足底への走行を指先で追うように触診することも重要です。
  • 圧迫を改善させるための治療法: 足根管内の圧力を軽減するための手技や、足部のアーチをサポートするテーピング、装具の使用が検討されます。また、周囲の筋(後脛骨筋、長趾屈筋など)のリリースや、足関節の可動域改善、足底筋群の機能改善運動も有効です。

4. 総腓骨神経(浅腓骨神経、深腓骨神経)

  • 圧迫されることによって現れる症状: 総腓骨神経の圧迫は、下腿外側や足背のしびれ、痛み、感覚異常を引き起こします。特に、足関節の背屈や外反の筋力低下(下垂足)が見られることがあります。浅腓骨神経の圧迫では下腿外側から足背外側の感覚障害が主で、深腓骨神経の圧迫では第1・第2趾間の感覚障害や前脛骨筋の筋力低下が特徴です。
  • 圧迫の好発部位とその見つけ方(触診): 総腓骨神経は、腓骨頭を回旋しながら通過する際に、腓骨頭部での絞扼が好発部位です。触診では、膝の外側にある腓骨頭のすぐ下方を丁寧に触れ、圧痛や神経の走行に沿った放散痛の有無を確認します。腓骨頭を軸に神経が動くのを感じ取ることも重要です。
  • 圧迫を改善させるための治療法: 腓骨頭周囲の筋(特に腓骨筋)のリリースや、神経の滑走性を改善するための神経モビライゼーションが有効です。また、足関節の背屈筋力低下がある場合には、筋力トレーニングや装具の使用も考慮されます。

実技実習の重要性

神経の触診は非常に繊細な技術であり、少しでも接触部位がずれると治療効果は得られません。そのため、生徒の皆さんは解剖学の知識を頼りに、指先の感覚で神経の走行を真剣に探りながら実習に取り組んでいました。この繊細さが、神経マニピュレーションの奥深さと治療効果に直結します。

名古屋、大阪、神戸、札幌のカイロプラクティック学校でのカイロプラクティック実技指導

次回に向けて

次回の神経マニピュレーションの授業は、**8月3日(日)**になります。今回学んだ内容をしっかりと復習し、技術を自分のものにしておくことが求められます。次回が神経マニピュレーションの最終授業となるため、これまでの学習の集大成として、更なるスキルアップを目指しましょう。

新学期のお知らせ

9月からは新学期が始まり、新たな仲間(新入生)が加わることで、さらに活気のある授業になることと思います。共に徒手療法の道を究め、患者様のより良い状態への貢献を目指していきましょう。

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