本日、2025年10月12日(日)、名古屋のカイロプラクティック学校「徒手療法大学名古屋校」にて、9月に始まった新学期2回目の実技クラスが熱気の中で開催されました。今回は「頸部の筋膜リリーステクニック」の核心へと深く踏み込みました。
理論の探求:なぜ組織は「癒着」し症状を引き起こすのか
実技に入る前、いつものように詳細な理論解説からスタートしました。これは、単に手技を覚えるのではなく、なぜその手技が有効なのかという科学的根拠を深く理解するためです。
今回のテーマである筋膜リリースにおいて重要なのは、以下の病理学的メカニズムです。
- 線維化と瘢痕化:怪我や炎症、あるいは慢性的なストレスによって、筋肉や靭帯、関節包といった組織内に異常な線維組織が増加し、組織が硬化する現象です。
- 周辺組織との癒着:本来は滑らかに動くべき組織(筋肉と筋膜、筋膜同士、または神経と周辺組織)が、線維化や体液の停滞によってくっつき合い、滑走性を失う状態です。
これらの「線維化」「瘢痕化」「癒着」が発生すると、血流障害や神経の絞扼(こうやく)が生じます。それが後頸部痛、重度の肩こり、上背部痛、さらには慢性的な頭痛といった症状の根本原因となります。
実習の導入では、これらの病理学的変化がどこに、どのように発生しているのかを解剖学的知識と結びつけて解説しました。そして、硬く癒着した部位を正確にリリースすることによって、「可動域の改善」「神経圧迫の解放」「疼痛シグナルの抑制」といった具体的な治療効果が期待できることを明確にしました。
実践の深化:触診とテンションの方向性
理論の解説が終わると、いよいよ実技のデモンストレーションへと移行しました。
デモンストレーションでは、施術者が組織に触れる「接触の仕方」に特に重点を置きました。皮膚や表層の筋膜を無理なく超え、目的とする深層の組織(例えば、頸椎の椎間関節の関節包や、深層の筋膜)に的確にコンタクトする繊細な技術が求められます。
さらに、癒着した組織を効果的に解放するための「テンションの取る方向」についても詳しく解説しました。単に押すだけでなく、組織の線維走行や制限方向を見極め、適切なベクトルで持続的な圧をかけることが重要です。
また、デモンストレーションを通じて、患者様の安全を確保するための注意事項(禁忌事項、力の加減、患者様の呼吸への配慮など)を徹底しました。安全性の確保は、質の高いカイロプラクティック施術の最低条件です。
学びへの熱意:未来のカイロプラクターへ
デモンストレーションの後、生徒の皆さんは早速ペアになり、真剣な眼差しで実技の練習に入りました。
本日習得した手技は、臨床で遭遇する頻度が非常に高い頭痛(特に緊張型頭痛や頸原性頭痛)や、慢性的な後頸部痛、上背部痛といった症状に効果的にアプローチできるものです。
生徒の皆さんがいつにも増して熱心に練習していたのは、今、手を動かして習得している感覚こそが、将来、患者様を診る際に必ず必要になると理解しているからです。
この熱意こそが、未来のカイロプラクターとしての成功を左右します。徒手療法大学(名古屋、神戸、札幌)は、この熱意を確かな技術へと昇華させるための、最も質の高い教育を提供し続けます。