【カイロプラクティック】アメリカと日本の決定的な違いとは?米国D.C.が語る業界の裏側

この記事の要点まとめ

  • 日米の決定的ギャップ: 米国で10年開業したD.C.が見た、日本の「カイロプラクティック」が「ほぐし(マッサージ)」と化している衝撃的な現状。

  • 教育の裏側: 多くの学校が「治療家」ではなく「直営院の労働力」を育てているという、業界の不都合な真実。

  • 無法地帯の勝機: ライセンス制度がない日本だからこそ、正しい知識と技術を持つ「本物」が圧倒的に勝ち残れる理由。

皆さん、こんにちは。徒手療法大学 学長の榊原直樹です。

私がアメリカ・ロサンゼルスでの10年間の臨床を経て、日本に帰国したのは2007年のことです。あれからもうすぐ20年が経とうとしていますが、帰国した当日に受けた「衝撃」は、今でも昨日のことのように鮮明に覚えています。

当時、私は日本のカイロプラクティック業界の現状をほとんど知らずに渡米し、向こうでドクター・オブ・カイロプラクティック(D.C.)のライセンスを取得して働いていました。いわば「浦島太郎」状態で日本に帰ってきた私が目の当たりにしたのは、アメリカで人生を懸けて学んできた「科学に基づく医療」とは似ても似つかない、あまりにも歪んだ光景でした。

今回は、あえて少し厳しい現実をお話しします。しかしこれは、これから本気でカイロプラクターを目指す皆さんにとって、決して無視できない不都合な真実であり、同時に大きな希望でもあります。

看板はカイロ、中身はマッサージ。「ほぐし」という名の欺瞞

帰国して一番驚いたのは、街中で「カイロプラクティック」の看板を掲げている治療院のほとんどが、実際にはカイロプラクティックを行っていないことでした。

彼らが提供していたのは、いわゆる「ほぐし」。 日本の法律上、「マッサージ」と標榜することは国家資格(あん摩マッサージ指圧師)が必要なため違法となります。それを回避するために「ほぐし」と言い換えていますが、やっていることはマッサージそのものです。私から見れば、グレーゾーンどころか完全にアウトな状況でした。

しかし、この「なんちゃってカイロプラクティック」が街に溢れているせいで、一般の方々の多くがカイロプラクティック=マッサージ(のようなもの)という誤った認識を持ってしまっています。

本来、カイロプラクティックはアメリカ発祥のヘルスケアであり、解剖学や生理学、バイオメカニクスといった科学的根拠に基づく治療法です。それが日本では、形を変え、本来の姿とは程遠いものとして広まっている。その事実に、私は驚きと同時に、強い憤りさえ覚えました。

「看板はカイロ、中身はマッサージ」…帰国した私を襲った衝撃とは。米国公認ドクターが、日本のカイロプラクティック業界の不都合な真実と、無法地帯の日本だからこそ掴める「勝機」について本音で語ります。

日本のカイロプラクティック学校の裏側

なぜ、このような状況になってしまったのか。その根本的な原因に気づいたのは、帰国後に日本のとあるカイロプラクティック学校で講師として教壇に立った時でした。

そこには確かに、解剖学や生理学といった基礎医学のカリキュラムは存在していました。しかし、致命的だったのは「その知識を治療技術にどう活かすか」という実践教育が完全に欠落していたことです。

実技の授業で生徒たちが教わっていたのは、患者さんの症状が何であれ、全員に同じ手順で行う「ルーティン化したほぐし」でした。診断も評価もなく、ただ手順通りに身体を揉むだけ。これでは治療家ではなく、作業員です。

さらに衝撃的だったのは、生徒たちがインターンと称して、学校直営の治療院で働かされている実態でした。 これは教育の一環ではありません。学校側が直営店でマッサージをするための安価な労働力を確保するためのシステムに過ぎなかったのです。

当時、インターネットで海外の情報を得ていた鋭い生徒の中には、「自分たちが習っていることは、本場のカイロプラクティックとは違うのではないか?」と薄々気づいている子もいました。しかし、学校のカリキュラムを変える権限を持たない私には、彼らを救ってあげることができず、悶々とした日々を過ごしました。

無法地帯だからこそ、本物が圧倒的に勝てる

ここで、視点をアメリカに向けてみましょう。 アメリカでは、すべてのカイロプラクターが州のライセンス(D.C.)を取得しており、政府が認める厳しい教育基準をクリアしています。全員が一定以上の高いレベルにあるため、そこでの競争は非常に激しく、生き残ることは容易ではありません。

一方、日本はどうでしょうか。 日本にはカイロプラクティックに関する法律も、国が定める教育基準もありません。いわば無法地帯であり、玉石混交です。

「だから日本はダメだ」と言いたいのではありません。逆です。 これからカイロプラクターを目指す皆さんにとって、これほど有利な市場はありません。

なぜなら、周りの多くが「なんちゃってカイロプラクティック」を行っている中で、あなたが正しい知識と技術を身につけ、本物のカイロプラクティックを提供できるようになれば、どうなるでしょうか?

勉強している人とそうでない人の差が激しい日本だからこそ、本物は圧倒的に目立ちます。 患者さんは馬鹿ではありません。「ここは他とは違う」と必ず気づきます。

アメリカのような激しい競争にさらされることなく、真面目に研鑽を積むだけで、その他大勢から頭一つも二つも抜け出すことができる。これが、日本のカイロプラクティック業界の現状であり、最大のチャンスなのです。

カイロプラクターの資格、アメリカと日本では何が違う?米国で学び開業した経験を持つ学長が、日本の教育の問題点と将来性を徹底解説。マッサージ要員ではなく、一生食べていける「本物の技術」を身につけたい方へ。

必然だった「徒手療法大学」の設立

講師時代の悔しさ、そして「本物を伝えたい」という想いから、私は2009年頃に学校の外で独自のセミナー活動を開始しました。そして、その集大成として2022年に設立したのが、この「徒手療法大学」です。

私がこの学校を作ったのは、マッサージ要員を育てるためではありません。 AIには決して真似できない、そして単なる「ほぐし」とも違う、自らの頭で考え、手で治すことができる本物のカイロプラクターを育てるためです。

この日本という環境で、本気でプロフェッショナルを目指す志ある方を、私は全力でサポートします。 本場を知るからこそ教えられる技術とマインドセットを、ぜひここで学んでください。


この記事を書いた人

徒手療法大学の学長、榊原直樹

榊原 直樹(Naoki Sakakibara, D.C., Ph.D.) 徒手療法大学 学長 / 米国政府公認ドクター・オブ・カイロプラクティック

1998年に米国カリフォルニア州にてドクター・オブ・カイロプラクティック(D.C.)ライセンスを取得。ロサンゼルスにて10年間、臨床の最前線で診療を行う。 2007年に帰国後、岐阜大学医学部大学院にてスポーツ医学の医学博士号(Ph.D.)を取得。医学的根拠に基づくカイロプラクティックの普及と、後進の育成に情熱を注ぐ。 臨床歴28年以上。毎朝の筋トレと2000年から欠かさず続けているヴィパッサナー瞑想が日課。

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