【要旨】
活動場所:ミャンマー・タウンドゥインジー村「チャンミ瞑想センター」
活動内容:現地住民へのカイロプラクティックボランティア治療および技術指導
ハイライト:5時間ノンストップでの施術と、患者さんからの「痛みが取れた」という喜びの声
臨床家の視点:一過性のボランティアで終わらせず、翌日の出家式(シンビュ)の合間を縫って困難な症例の経過観察・再治療を行う重要性について
【ミャンマー滞在記】言葉の壁を超えた「手」の医療
こんばんは。徒手療法大学 学長です。 現在、私はミャンマーのタウンドゥインジー村に滞在しています。
今回は、現地の人々の健康をサポートするために実施したカイロプラクティックボランティアの活動について、現地のホテルからレポートします。言葉も文化も異なるこの地で、「手」による治療が持つ可能性を改めて実感する、濃厚な一日となりました。
5時間ノンストップのカイロプラクティックボランティア
今朝は6時にホテルを出発し、私が以前から縁のあるチャンミ瞑想センターへ向かいました。センター内にある診療所をお借りして、朝8時から治療を開始しました。
今回のカイロプラクティックボランティアには、当初20人ほどの患者さんが来られると聞いていたのですが、蓋を開けてみるとそれを大きく上回る数の方々が待っていました。
同行している大門君と二人、息をつく暇もなく次々と患者さんと向き合いました。気づけば終了時刻の午後1時。5時間が経過していましたが、不思議と疲れは感じず、いわゆる「フロー状態」に入っていたようです。言葉の壁はあっても、痛みや不調を訴える身体の声は万国共通です。その声に耳を傾け、ただひたすらに手を動かし続けました。
村の生活に触れ、再確認した「癒やし」の原点
遅めの昼食を摂った後、現地の方のご厚意で村のミニツアーに連れて行っていただきました。 観光地を巡るのではなく、村の人々の家庭を訪問し、お茶を飲み、話をする。そんな素朴な時間です。
彼らの生活の場に身を置き、その温かさに触れることで、午前中に私たちが提供したボランティア治療とは逆に、私自身が彼らの暮らしから大きなエネルギーをもらったような気がします。臨床室の中だけでは見えない、患者さんの背景にある「生活」を肌で感じることは、私たち臨床家にとって非常に大切な経験です。
「腰が楽になった」カイロプラクター冥利に尽きる瞬間
そして先ほど、センターで夕食をいただいていた時のことです。 今朝のカイロプラクティック施術を受けた数名の方が、わざわざ私のところへ来てこう声をかけてくれました。
「腰が楽になりました!」
その笑顔を見た瞬間、一日の疲れなどすべて吹き飛びました。 これこそが、カイロプラクター冥利に尽きる瞬間です。自分の技術が、誰かの生活の質を少しでも向上させることができたという手応え。この喜びがあるからこそ、私たちは学び続け、臨床を続けることができるのだと思います。

明日の出家式と、ボランティア診療の継続
明日は、チャンミ瞑想センターで150人の子供たちが参加する大規模な出家式(シンビュ)が行われます。村中がお祝いムードに包まれるハレの日です。私も朝から参列し、ミャンマーの精神文化の真髄に触れてくる予定です。
しかし、私の頭の中にはもう一つ、明日の大切なミッションがあります。 それは、今日診た患者さんの中で、特に症状が重かった方や予後が気になる方の「再評価と治療」です。
カイロプラクティックボランティアというと「その場限り」になりがちですが、臨床家として、気になるケースをそのままにして帰るわけにはいきません。明日の式の合間や隙間時間を縫ってでも、しっかりと経過を確認し、必要なアジャストメントを行う予定です。
華やかな祝祭と、静かな臨床。 明日もまた、密度の濃い一日になりそうです。
日本で学ぶ学生の皆さんも、技術の習得はもちろんですが、こうした「患者さんの生活に寄り添う心」や「最後まで責任を持つ姿勢」を大切にしてください。
それでは、また。
この記事の著者

榊原 直樹(Naoki Sakakibara, D.C., Ph.D.)
徒手療法大学(College of Manual Therapy)学長 米国政府公認ドクター・オブ・カイロプラクティック(カリフォルニア州ライセンス)。 1998年に米国で資格取得後、ロサンゼルスで10年間の臨床経験を積む。帰国後、岐阜大学医学部大学院にてスポーツ医学の医学博士号を取得。現在は名古屋駅前にて治療院を運営する現役臨床家であると同時に、徒手療法大学の学長として名古屋・神戸・札幌にて後進の育成に尽力している。 2000年よりヴィパッサナー瞑想を実践しており、心身の相関についても造詣が深い。
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