アメリカ カイロプラクティック大学留学体験記:立場が逆転した日

病理学の講義が終わり、10分間の休憩に入った直後のことだった。書き損じた箇所をノートに書き直していると、一人のクラスメートが近づいてきた。

「昨日の神経解剖学のノート、コピーさせてもらえないか?」

その言葉を聞いた瞬間、私は思わず手を止めた。

つい1年前まで、毎日のように頭を下げてクラスメートのノートを借り続けていたのは、ほかでもない私自身だった。それが今、立場は完全に逆転していた。

アメリカのカイロプラクティック大学で直面した英語の壁

思い返せば、クリーブランドカイロプラクティックカレッジに入学して最初に受けた生化学の講義から、私は早くも壁にぶち当たっていた。講師の言葉はまるで聞き取れず、当然ノートなど取れない。教科書もない中で、唯一の命綱はクラスメートのノートだけだった。それがなければ、中間試験も期末試験の準備さえままならない。恥を忍んで、毎日のように「コピーさせてくれないか」と頭を下げ続けた。

——いったい、いつになれば自分でノートが取れるようになるのだろう。

そんな自問を繰り返しながら歯を食いしばった日々から、1年半が過ぎていた。

そして今、アメリカ人のクラスメートが、外国人である私のノートを借りに来ている。

その瞬間、私の胸の中でガッツポーズが弾けた。こんな日が来るとは、入学当初には夢にも思っていなかった。私は笑顔で、迷わず自分のノートを彼に手渡した。

あの入学直後の自分が見たら、驚いて目を丸くしたことだろう。留学とは、こういうことか——そんな感慨が、じわりと胸に広がった。

こうして、もがき続けた日々はいつしか自信へと変わり、学生生活は新たなステージへと移っていった。

カイロプラクティック大学のインターンシップ——白衣をまとう日々

クリーブランドカイロプラクティックカレッジでは、8学期目——すなわち最終学年に入ると、1年間のインターンシップが始まる。インターン生には白衣の着用が義務付けられ、キャンパスを歩けば一目でそれとわかった。

ある日、白衣姿で大学のカフェテリアに立ち寄り、遅めの昼食をとっていた時のことだ。

ふと顔を上げると、見覚えのある人物が入口に姿を現した。入学式のオリエンテーションで挨拶を交わした、ドクター・クリーブランド三世だった。普段は講義に立つことのない彼と顔を合わせるのは、あの日以来——おそらく、2年ぶりのことだった。

2年前と変わらぬ、くりくりとした目とちょび髭。一瞬、視線が交わったと思った次の瞬間、彼はまっすぐこちらへ歩いてきた。

そして、開口一番、こう言ったのだ。

その言葉は、私の予想を完全に裏切るものだった。