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スーツケースの中身
今回の荷物は、制限いっぱいの各自20kg。中に入っているのは、着替えや医療器具だけではありません。日本から集めた古着、子供たちへのぬいぐるみ、そして大量のカレールー。スーツケースを開けると、まるで支援物資の倉庫のようです。これがミャンマーへの旅の「定番」の荷造りです。
ヤンゴン到着——サインさんが待っていた
ヤンゴン国際空港に降り立つと、いつも通り、現地スタッフのサインさんが出迎えてくれていました。何年も一緒に活動を続けてきた、信頼できる仲間です。
到着初日は、お寺巡りとミャンマー料理でゆっくりと過ごしました。ヤンゴンの喧騒、漂うお香の香り、色鮮やかな袈裟をまとった僧侶たち——高岡先生も初めての光景に目を輝かせていました。
ボランティア施術の一日
翌日、いよいよ本番です。現地NGOの協力のもと、カイロプラクティックのボランティア施術を実施しました。午前10時にスタートし、終わったのは夕方。次々と訪れる患者さんたちに、ひたすら向き合い続けた一日でした。
終了後、高岡先生が興奮した様子で話しかけてきました。
「日本の患者さんと症状が全然違う。無料で治療している時の感覚は、日本では味わえないとても新鮮な感覚です」
その言葉が、私にはとても嬉しかった。技術だけでなく、「誰のために、何のために施術するのか」——その問いに触れた瞬間だったと思うからです。ベテランの先生であっても、初めての体験は人を揺さぶります。それがボランティアというフィールドの力です。

15年間通い続けた孤児院へ
3日目は、ヤンゴン郊外の孤児院を訪問しました。ヤンゴン市内から東へ車で約1時間。ここには15年前から毎年通い続けています。
お寺のご住職が子供たちの面倒を見ているこの孤児院に、持参した古着とぬいぐるみを配りました。子供たちの笑顔は、毎年変わりません。少し大きくなった顔を見るたびに、時の流れを感じます。
お昼ごはんは、日本のカレーライスを手作りしてふるまいました。カレールーをスーツケースに詰め込んできたのは、このためです。子供たちが「おいしい」と言いながら食べる姿は、何年経っても胸に響きます。
別途でお米1トンを孤児院に寄付しました。

バンコクへ、そして次の旅へ
4日目の午前中、私たちはバンコクへ戻りました。翌日からはタイ東北部の大学での解剖実習が始まります。バンコクでの前泊の夜、解剖実習に参加する本学の学生3名と合流しました。
ミャンマーでの3日間の余韻を胸に抱えながら、私はあらためて思いました。
本学の理念は「社会に本当に必要とされるカイロプラクターを育てること」。その言葉の意味を、毎年この旅で自分自身が確かめています。教室では教えられないことが、ヤンゴンにはあります。
次回は、タイ東北部、イサーン地方にある大学での解剖実習についてお伝えします。
(第2回につづく)

この記事を書いた人:榊原 直樹
徒手療法大学 学長 / 米国公認ドクター・オブ・カイロプラクティック (DC) / 医学博士 (PhD)
1998年に米国カリフォルニア州でDCライセンスを取得し、ロサンゼルスで10年間臨床に従事。帰国後、岐阜大学医学部にてスポーツ医学の医学博士号を取得。現在は名古屋駅前での臨床の傍ら、徒手療法大学(名古屋・神戸・札幌)の学長として後進の育成に尽力している。 2000年よりヴィパッサナー瞑想を実践し、毎日の瞑想を日課とする。心身両面からのアプローチを探求し続けている。