カイロプラクターが「結果」を手放すべき理由

天才発明家ニコラ・テスラ。彼はかつてこう言いました。 「宇宙は『力』ではなく『調和』によって動いている」

私たちカイロプラクターは、日々患者さんの体と向き合う中で、無意識のうちにこの「宇宙の法則」に逆らってしまっていることがあります。それは、「治そう」という強い意志、すなわち「力(りきみ)」です。

今回は、テスラの7つの教えを紐解きながら、私たちカイロプラクターがあるべき真の姿について考えてみたいと思います。

1. 結果を追い求めると、結果は逃げていく

患者さんが痛みを訴えて来院されたとき、カイロプラクターとして「この症状を取ってあげたい」「早く楽にしてあげたい」と思うのは自然なことです。しかし、ここに大きな落とし穴があります。

テスラは「力ではなく流れを読む」ことの重要性を説いています。

私たちが「症状の除去(=結果)」に躍起になっているとき、心はどのような状態でしょうか? 「治らなかったらどうしよう」「なんとかして変化を出さなければ」という焦りやプレッシャー。これは、正常な精神状態ではありません。いわば「感情的な心の状態」です。

感情的であるということは、主観的であるということと同じです。 主観のフィルターを通して患者さんを見ているとき、私たちは目の前の生体をありのままに見ることができていません。これでは、本当に必要なアプローチが見えてこないのです。

2. 「焦り」というノイズを消し、客観性を取り戻す

テスラの教えに「焦りは波を乱す」「静けさが力を生む」というものがあります。

カイロプラクティックにおいて最も重要なのは、患者さんの体を客観的に観察することです。

どこにサブラクセーション(神経伝達の妨害)があるのか。身体の構造はどうなっているのか。それを冷静に見極めることで初めて、「今、何をすべきか」という最適解が見えてきます。

しかし、「結果」に意識が向いている感情的な心には、ノイズが混じります。 「もっと強くアジャストした方がいいのではないか?」「別のテクニックを使うべきか?」 そうした迷いや焦り(力み)は、指先を通じて患者さんの体に伝わり、患者さんの防御反射を生んでしまいます。

テスラが言うように、力を抜くほど、流れは速く、美しくなります。 私たちが結果への執着を手放し、静寂の中で客観的な観察者に戻ったとき、初めて治癒への「流れ」が見えてくるのです。

【ニコラ・テスラ流】カイロプラクターが「結果」を手放すべき理由とは?焦りや主観を排し、施術プロセスそのものに没頭することで見えてくる真の治癒。力みを超え、自分自身の技術を信じ切るためのプロフェッショナル論。

3. 「プロセス」への没入が、調和を生む

では、私たちは何に集中すべきなのでしょうか? それは「結果」ではなく、「治療のプロセス」そのものです。

テスラの第5の教えは「行動は整った波から生まれる」でした。

アジャストメントを行うその一瞬、検査を行うその瞬間。そのプロセス一つひとつに、純粋な意識を向けること。

「治るか治らないか(未来の結果)」を憂うのではなく、「今、ここで最善の手技を行えているか(現在のプロセス)」に全神経を集中させるのです。

プロセスが正しければ、結果は後から自然についてきます。 テスラも「信頼が宇宙を動かす」と言っています。

これはカイロプラクティックで言えば、あなた自身の技術と、積み重ねてきたプロセスへの「信頼」です。

「自分は正しい観察に基づき、最適なアジャストメントを行った」 その確信さえあれば、私たちは結果を恐れる必要がなくなります。

自分自身を深く信頼しているからこそ、施術した直後に「どうだ?治ったか?」と結果に執着することなく、潔く手を離す(リリースする)ことができるのです。

プロセス(治療)に全神経を集中し、その流れに身をゆだねることができていれば、もはや結果への執着はなくなります。

そうすれば、治療の結果に一喜一憂することもなくなります。症状の改善が芳しくなくても必要以上に落ち込むこともないし、逆に劇的に寛解したとしても過度に興奮するようなこともなくなるのです。

これこそが、テスラの言う「力を抜いて、流れに委ねる」という境地であり、常に一定の精神状態で患者さんと向き合う真のプロフェッショナルの姿ではないでしょうか。

結論:力みを手放し、ただ「整える」

多くのカイロプラクターが、結果が出ない時に「もっと頑張らなければ」「もっと力を込めなければ」と誤った方向に努力を重ねてしまいます。

しかし、テスラの哲学と真のカイロプラクティックが教えてくれるのは逆の道です。

  • 結果(症状消失)を追わない。

  • 感情(主観)を排し、客観的に観察する。

  • プロセス(施術行為)に没頭し、自らの仕事を信じ切る。

もし今、臨床で壁にぶつかっているのなら、一度立ち止まり、深呼吸をして「力」を抜いてみてください。 あなたが「結果」を手放した瞬間、患者さんの体との間に調和が生まれ、想像を超えた治癒の力が動き出すはずです。


(著者プロフィール)

徒手療法大学 学長 米国政府公認ドクター・オブ・カイロプラクティック(カリフォルニア州)。 ロサンゼルスでの10年の臨床経験を経て、現在は名古屋にて後進の育成と臨床にあたる。医学博士(スポーツ医学)。

名古屋・神戸・札幌のカイロプラクティックスクール|徒手療法大学ではカイロプラクティックを学びたいという将来のカイロプラクターを募集中です。

患者の症状を取ることに躍起になっていませんか?感情的な力みは客観性を曇らせ、治癒を遠ざけます。テスラの7つの教えから学ぶ、結果を手放し、ただ「整える」ための思考法。臨床に悩みを持つ全てのカイロプラクターへ。
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