「自分には才能がないのかもしれない…」
技術の習得に壁を感じた時、多くの人がそう嘆きます。しかし、教育者として断言します。
多くの人が挫折するのは「才能がないから」ではありません。「順序(守)を飛ばして、いきなり個性(離)を出そうとするから」です。
医学と科学に基づいたカイロプラクティックを教える徒手療法大学の学長として、プロフェッショナルになるための絶対法則「守破離(しゅはり)」についてお話しします。
第1段階:守(SHU)- 「型」の徹底と無意識化
「自我を捨て、師の技術を完コピする時期」
最初の段階は、徹底的な「模倣」です。 脳科学的に言えば、技術習得とは「脳の回路が意識(前頭前野)から無意識(小脳・大脳基底核)へ移行するプロセス」です。
頭で考えているうちは、まだ「守」の段階です。
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師を一人に絞る(エゴとの契約): YouTubeや他流派のテクニックに目移りしてはいけません。「まずはこの学校の基本だけを信じ抜く」と決めてください。
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1000回の反復: 解剖学の暗記、触診、セットアップ。「できているつもり」では現場で通用しません。無意識に手が動くレベルまで、退屈な反復を繰り返します。
学長からの言葉: 「自己流は事故の元です。まずは私の手の感覚、体の使い方をそのままコピーしなさい。最新論文や応用はその後の話です。」
第2段階:破(HA)- 原理の探究と科学的検証
「型を破り、その背後にある『医学的原理』を知る時期」
無意識に型ができるようになったら、次は「なぜ?」を問う段階です。ここで初めて、私が持つ医学博士・スポーツ医学のバックグラウンドが活きてきます。
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「なぜ」を問う: 最新の医学論文(英語論文)のリサーチを解禁します。「なぜこのアジャストメントが効くのか?」「神経生理学的に何が起きているのか?」を追求します。
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他分野との融合: 整形外科テスト法やリハビリ理論を掛け合わせ、エビデンスに基づいた応用力を養います。
学長からの言葉: 「型を覚えたなら、次はそれを疑いなさい。論文を読み、エビデンスを探し、『なぜ治るのか』という原理原則(Science)を理解することで、技術は確信に変わります。」

第3段階:離(RI)- 独自の境地とフロー状態
「技が自分を使い、治癒が自然に起こる時期」
これは一流の臨床家の領域です。頭で考えずとも、手が最適な治療ポイント(サブラクセーション)に吸い寄せられる感覚。いわゆる「フロー状態」です。
あなたの経験、知識、そして感性が融合し、あなただけの「カイロプラクティック観(Art)」が完成します。
ここまで来れば、あなたはもう私のコピーではありません。一人の独立したプロフェッショナルです。
今、あなたができる「実践アクション」
一流を目指すなら、以下の行動指針を今日から実践してください。
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一点集中: 「3年後に人生を変えるスキル(例:頸椎のアジャストメント)」を一つ決める。
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反復の誓い: 300回~1000回反復するまでフォームを変えない。
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記録する: 毎日の練習回数、失敗の感覚をノートに取る。
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科学する(破): 基本ができたら、関連する医学論文を読み、共通点を探す。

最後に
「不自由(基礎の徹底)を受け入れた者だけが、最終的に自由(一流の技術)を手に入れる」
これは逆説的ですが、真実です。 カイロプラクティックという職人技の世界において、この「守破離」のプロセスは、医学的知識という裏付けと共に、最短で「本物」になるための強力な羅針盤となります。
近道を探して迷子になる前に、まずは徹底した「守」から始めましょう。 徒手療法大学は、その最初の一歩からあなたを導きます。
まとめ
挫折の原因は「順序」にある 技術が身につかないのは「才能がない」からではなく、基礎(守)を飛ばしていきなり個性(離)を出そうとする「順序の間違い」が原因です。
プロへの絶対法則「守破離」
守(SHU): 自我を捨て、師の技術を脳が無意識に動くまで「完コピ」する時期。
破(HA): 医学的エビデンス(論文)に基づき、「なぜ治るのか」という原理を探求する時期。
離(RI): 知識と経験が融合し、独自の「臨床観(Art)」が確立される時期。
基礎の徹底が「自由」を生む 「不自由(基礎の反復)」を受け入れた者だけが、最終的に医学的裏付けのある「真の自由(一流の技術)」を手に入れることができます。
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この記事を書いた人
徒手療法大学 学長 榊原 直樹 (Naoki Sakakibara, D.C., Ph.D.)
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米国公認ドクター・オブ・カイロプラクティック(カリフォルニア州ライセンス)
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医学博士(岐阜大学医学部・スポーツ医学)
【経歴】 1998年東北大学卒業後、渡米。ロサンゼルスのクリーブランド・カイロプラクティック大学を卒業し、米国にて10年間の臨床経験を積む。2006年トリノオリンピック帯同ドクターなどを経て、2007年に帰国。 名古屋駅前にて治療院を開院する傍ら、岐阜大学医学部にて医学博士号(スポーツ医学)を取得。元ボディビルダーとしての鋭敏な身体感覚と、最新の医学的エビデンスを融合した「本物のカイロプラクティック」を日本に定着させるべく、後進の育成に力を注いでいる。