「成功したから自信がつく」のではなく、「自信があるから成功する」。 これは単なる精神論ではなく、臨床現場における「真実」です。
私たちカイロプラクターにとって、患者さんとの信頼関係は、時として手技そのもの以上の治癒効果をもたらします。しかし、その信頼を損なう最大の敵は、自分自身の心に生じる「これくらいでいいか」という小さな妥協や不誠実さです。
本記事では、治療効果を最大化するために不可欠な「信頼関係の正体」と、プロフェッショナルとして揺るぎない自信を築くための具体的なマインドセットについて、臨床経験に基づき解説します。技術の研鑽と同じくらい重要な「心の在り方」を見つめ直してみませんか?
「成功するから自信がつくのではなく、自信がある(と思い込む)から成功する」
一見、突拍子もない話に聞こえるかもしれませんが、私たちカイロプラクターの臨床現場において、これほど核心を突いた話はありません。
信頼関係は「治療効果」そのものである
私たちカイロプラクターにとって、患者さんとの信頼関係の構築は極めて重要です。それは単に「通い続けてもらうため」といった経営的な話ではありません。信頼関係そのものが、症状の改善率に直接的な影響を及ぼすからです。
患者さんが「この先生なら治してくれる」「この先生は信頼できる」と心から感じたとき、そこには強力なプラシーボ効果が作用します。脳が治癒に向けたスイッチを入れるのです。逆に言えば、どんなに素晴らしい技術を持っていても、術者に対して不安や不信感があれば、その治療効果は半減してしまいます。
では、この不可欠な「信頼」を築くにはどうすればよいのでしょうか。
不誠実さがカイロプラクターの自信を奪う
信頼構築の大前提となるのは、当然ながら必要な知識と技術を常に進化させ続けることです。しかし、それ以上に大切なのが「患者さんへの誠実さ」です。
誠実さとは何か。それは、治療において一切の手抜きをしないことです。
臨床の場では、少し手を抜いたとしても、素人である患者さんには気づかれないかもしれません。しかし、自分自身だけは、自分が手を抜いたことを知っています。 「今日は疲れているから」「この患者さんはあまり分からないだろうから」……そんな小さな妥協や手抜きに対して感じる「うしろめたさ」は、ボディブローのように効いてきます。
こうした自分自身への不誠実さは、カイロプラクターとしての「自信」を確実に削ぎ落としていきます。自信のなさは、言葉の端々や手の触れ方に無意識に現れ、患者さんはそれを敏感に感じ取ります。結果、信頼関係の構築が難しくなるのです。
不誠実な態度はまさに、自分自身で「信頼されない現実」を作り出す行為に他なりません。

理想の自分を「リハーサル」する
では、どうすれば自信を持ち、患者さんと強固な信頼関係を築けるのでしょうか。 その答えの一つが、「理想の自分を演じる」ことです。
カイロプラクターとしての自己肯定感が低いと、自分の能力に疑いを持ってしまい、それが治療効果を下げてしまいます。 これを克服するためには、知識と技術の修練を怠らないことはもちろん、治療において常にベストを尽くし、自分の中の不誠実さを除去することが不可欠です。
そして何より、「自分はカイロプラクターとして常にベストを尽くしている。今がベストの状態である」と自負できるように、心身を常に整えておくことです。

もし今、あなたが理想とするカイロプラクター像と現在の自分とのギャップに苦しんでいるのなら、その理想になりきって治療をしてみてください。
技術レベルでいきなり理想の達人と同じことはできないかもしれません。しかし、「理想とするカイロプラクターなら、この患者さんにどう接するか?」「どう誠実に向き合うか?」という点において、ベストを尽くすことは今すぐにでもできるはずです。
「自分は最高の治療を提供できるカイロプラクターだ」というポジティブなセルフイメージを持ち、その役になりきって誠実に患者さんと向き合う。そうすることで、脳はその現実を作ろうと動き出し、結果として確固たる自信と信頼関係が生まれてくるのです。
「プロフェッショナルとしての誇り高いセルフイメージ」を持つということです。 技術の研鑽とともに、ぜひ「理想の自分を演じ切る」というマインドセットを取り入れてみてください。あなたの手が、そして患者さんの反応が、確実に変わってくるはずです。
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榊原 直樹(Naoki Sakakibara), D.C., Ph.D. 徒手療法大学 学長 / 米国公認ドクター・オブ・カイロプラクティック
【プロフィール】 米国カリフォルニア州にてドクター・オブ・カイロプラクティック(D.C.)ライセンスを取得し、ロサンゼルスで10年間臨床に従事。 2007年に帰国後、岐阜大学医学部にてスポーツ医学の医学博士号(Ph.D.)を取得。 現在は名古屋駅前にてカイロプラクティック治療院を運営(臨床歴28年以上)する傍ら、徒手療法大学の学長として、医学的根拠に基づいた技術と治療家マインドの指導にあたる。 東北大学入学時よりボディビルを開始し、現在も毎朝1時間の筋トレと、2000年から続けているヴィパッサナー瞑想を日課とし、自らも心身の鍛錬を欠かさない。