今回は、カイロプラクターの「価値」と「進化」という視点から、私たちが目指すべき治療家像についてお話ししたいと思います。
臨床における「進化」の瞬間
皆さんは、カイロプラクターとしての進化がどのような場面で起こると思いますか? セミナーで新しい知識を得たときでしょうか? それとも、解剖学書を読み込んだときでしょうか?
もちろんそれらも大切ですが、真の進化は「今まで出くわしたことのないような難しいケースを克服したとき」にこそ訪れます。
教科書通りの症例や、過去のパターンに当てはまる患者さんを治すことは、プロとして当然の責務です。しかし、私たちが大きく成長するのは、今までのパターンが通用しない、まったく違うケースに直面し、それを乗り越えた瞬間なのです。
「過去の成功体験」という落とし穴
私たちは臨床経験を重ねる中で、成功体験を積み上げ、カイロプラクターとしての自信を築いていきます。「この症状にはこのアプローチが効く」「あの時はこれで良くなった」というデータが蓄積されていくわけです。
しかし、「成功体験が治療の妨げになることもある」ことがあります。
過去に例のないような難症例に出くわしたとき、多くの治療家は無意識に自分の「勝ちパターン」に頼ろうとします。しかし、過去の成功体験を踏まえて同じように治療しても、それが原因でなければ症状が改善することはありません。成功体験に固執するあまり、目の前の患者さんの身体が発している真の原因(サイン)に気づけなくなってしまうのです。

呪縛からの解放と、真の価値
そのような困難なケースを克服するためには、過去の呪縛から解放されなければなりません。 「以前はこれで治った」というプライドや固定観念を捨て、囚われから解放された柔軟な発想を持つこと。それができて初めて、私たちは新たなステージへと進化できるのです。
では、私たちが追い求めるべきゴールとは何でしょうか? それは「売上」でも「集客数」でもありません。
カイロプラクターとしての価値というのは、患者の痛みや苦しみを少しでも和らげることに尽きます。
小手先のテクニックや派手な広告宣伝で患者さんを集めたとしても、そこに本質的な治癒がなければ、それは一過性のものにすぎません。
患者さんの苦痛を取り除くという「価値」が提供できるカイロプラクターであれば、宣伝などしなくても、自然と患者さんは集まってくるものです。

最後に
過去の栄光や成功体験にあぐらをかくことなく、常に目の前の「解くべき問題(患者さんの苦しみ)」に情熱を注ぎ、自分自身を変化(改善)させ続けること。
これこそが、生き残りを許される唯一のカイロプラクターの姿であり、本学が育成したい治療家の在り方です。
成功体験を捨て、今日の臨床に新たな「価値」を生み出していきましょう。
【本記事のまとめ】
進化の条件 カイロプラクターとしての真の成長は、過去のデータが通用しない「未知の難症例」を克服した瞬間にのみ訪れる。
成功体験の罠 過去の成功パターンへの固執は、目の前の患者の真の原因を見落とす「呪縛」となり得る。
柔軟な発想と解放 自身のプライドや固定観念から解放され、柔軟な発想で挑むことこそが、困難なケースを打開する鍵となる。
本質的な価値の提供 小手先の集客ではなく、「患者の苦しみを和らげる」という本質的価値を提供し続ける治療家だけが、自然と選ばれ生き残る。
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【著者プロフィール】

徒手療法大学 学長 米国政府公認ドクター・オブ・カイロプラクティック(D.C.) 博士(医学) / Ph.D. in Sports Medicine
米国カリフォルニア州にてドクター・オブ・カイロプラクティック(D.C.)のライセンスを取得し、ロサンゼルスにて10年間臨床に従事。 2007年に帰国後、岐阜大学医学部大学院にてスポーツ医学の医学博士号(Ph.D.)を取得。 現在は名古屋駅前にてカイロプラクティック治療院を運営し、18年以上の国内臨床実績を持つ傍ら、徒手療法大学の学長として「治せる治療家」の育成とカイロプラクティックの普及・発展に情熱を注いでいる。