【この記事の要旨】 「カイロプラクティックの仕事は楽しいですか?」 この問いに対し、40年のキャリアを持つ学長・榊原直樹が自身の体験を交えて回答します。 勉強漬けで余裕がなかった修行時代を経て、なぜ今「天職」と言えるほどこの仕事にハマっているのか。 「好き」は最初からあるものではなく、目の前のことに没頭した後にやってくる——。 これから治療家を目指す方へ、仕事の楽しさとやりがいを見つけるためのマインドセットをお伝えします。
こんにちは、徒手療法大学 学長の榊原直樹です。
進路に迷っている学生や、これから治療家を目指す方から、よくこんな質問を受けます。 「カイロプラクティックの仕事は楽しいですか?」 「大変ではないですか?」
結論から言えば、私は今、この仕事にどっぷりとハマっており、毎日が最高に充実しています。しかし、最初からそうだったわけではありません。
一般的に、仕事を楽しむ方法には2つのアプローチがあると言われています。
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自分が興味あること、現在進行形で楽しんでいることを仕事にする方法
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今やっている仕事の中に、楽しさや面白さを見出していく方法
理想を言えば、最初から大好きでたまらないことを仕事にできれば最高かもしれません。しかし、多くのプロフェッショナルがそうであるように、実はこの2つは別々のものではなく、目の前のことに没頭した結果、それが天職になったというケースが非常に多いのです。
今日は、あるビジネス書の解説(『楽しくなければ仕事じゃない』)でも語られている「仕事を楽しむ裏技」と、私自身の40年にわたるカイロプラクティック人生を重ね合わせながら、少しお話ししたいと思います。
カイロプラクティックという仕事との偶然の出会い
私の原点は、大学入学と同時に入部したボディビル部でした。トレーニングに打ち込む中でスポーツ医学に興味を持ち始め、ある日、『月刊ボディビルディング』という雑誌でカイロプラクティックという言葉に出会いました。今からもう40年も前のことです。
ただ、ここで正直にお話しすると、当時の私は「これだ!私の使命だ!」と雷に打たれたようになったわけではありません。「アメリカにはスポーツ障害専門のカイロドクターがいて、アスリートの治療をしている」という点に興味は惹かれたものの、実際に卒業後の進路として意識し始めたのは、大学卒業の2年前くらいからでした。

勉強漬けの学生時代、まだ「仕事が楽しい」とは思えなかった
大学卒業後、私はすぐに渡米し、現地のカイロプラクティック大学に入学しました。 当時、インターネットもなく、カイロプラクティックに関する情報は皆無。「手技で治療する」ということくらいしか知らずに飛び込んだのです。
アメリカでの大学生活はどうだったと思いますか? 「毎日が夢のようで楽しかった」と言いたいところですが、実際は「勉強が忙しすぎて、楽しむ余裕なんてなかった」というのが本音です。
目の前の膨大なタスクをこなすのに精一杯。卒業後のカイロプラクターとしての輝かしい姿を想像する余裕すらありませんでした。その頃の私は、カイロプラクティックそのものを面白いと感じる境地には達していなかったのです。
これは、仕事論でよく言われる「レンガ積みの寓話」の1人目の職人に近かったかもしれません。「ただ目の前のレンガ(課題)を積んでいるだけ」の状態です。
臨床に出て初めて気づいた「カイロプラクティックの仕事の楽しさ」
しかし、転機は卒業後に訪れました。 無事にドクター・オブ・カイロプラクティックのライセンスを取得し、実際に患者さんを診始めたときです。
臨床の現場で、必死に学んだ知識と技術が患者さんの健康に繋がっていく。そのプロセスを経験する中で、私は初めてカイロプラクティックの「本当の面白さ」と「奥深さ」に気づきました。
仕事がつまらないと感じる時、人は「やらされている(Have to)」と感じています。しかし、主体的に取り組み、その仕事の価値(誰の役に立っているか)に気づいた時、マインドは「やりたい(Want to)」に変わります。
私の場合、必死に勉強した学生時代があったからこそ、臨床という現場に出た時に「点と点が繋がる快感」や「人の役に立つ喜び」という価値を見出すことができました。これこそが、カイロプラクティックの仕事が楽しいと心から思える理由です。

「行動」が「好き」を連れてくる
心理学には単純接触効果というものがあり、対象に触れ続け、没頭することで、後から好意や愛着が湧いてくるという性質が人間にはあります。
私も今では、この世界にどっぷりと漬かり、毎日が充実しています。「カイロプラクティックに出会っていなかったら」と思うとゾッとするほど、この仕事にハマっています。
学生の皆さんも、今は基礎医学や解剖学の勉強で「覚えるのが辛い」「これがどう臨床に役立つのか見えない」と苦しい時期があるかもしれません。 しかし、「好き」や「面白さ」は、必死に目の前のことに取り組んだ後から追いかけてきます。
まずは目の前の学びに無心になって没頭してみてください。その先には、一生かけても飽きないほどの「楽しさ」が待っています。
「楽しくなければ仕事じゃない」
そう胸を張って言える未来のカイロプラクターが、本校から一人でも多く巣立っていくことを楽しみにしています。
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著者プロフィール

榊原 直樹(Naoki Sakakibara, D.C., Ph.D.) 徒手療法大学 学長 / スポーツ医学博士
東北大学入学と同時にボディビルを開始し、身体の構造に魅了され渡米。米国での極貧修行時代を経て、カイロプラクティックの奥深さに開眼。ロサンゼルスで10年間の臨床後、日本へ帰国。 「仕事は楽しむもの」を体現すべく、現在は名古屋駅前での臨床と、大学での教育活動に没頭する日々を送る。趣味は30年以上続く毎朝の筋トレと瞑想、そしてANAマイルを貯めて旅すること。