カイロプラクターの仕事のやりがいとは?深い集中力が生む治療の質

この記事の要旨

カイロプラクターが集中力を極限まで高め、指先の感覚を研ぎ澄ますことは、治療の質と仕事のやりがいを根本から左右する。本記事では、20年以上にわたるヴィパッサナー瞑想の経験と、先日のミャンマーでの完全なデジタルデトックス環境下でのボランティア治療の実体験を交え、プロの治療家が避けるべき「3つの集中力阻害要因」について解説する。「マルチタスク」の弊害、「デジタルノイズ」の排除、そして毎朝の鍛錬による「心身のコンディショニング」がいかに重要か。明日からの臨床と、自身の在り方を見直すための視点をお伝えする。

カイロプラクターという仕事の大きなやりがいは、指先の感覚を通じて患者の身体と深く対話できる点にある。そして、そのやりがいを最大限に感じるための前提として、治療中に極めて高い集中力を発揮できるように普段から訓練しておくべきである。

集中力は訓練によって高めることが可能だ。それは、私の20年以上にわたる瞑想経験からも明らかである。サマタという瞑想があるが、これは集中力を高めるための瞑想だ。一点集中の集中力である。カイロプラクターの仕事において、この一点集中こそが治療の質を左右し、深いやりがいへと繋がっていく。

この集中力を高め、仕事のやりがいを保つために避けなければならないことがいくつかある。

1. マルチタスク

マルチタスクは集中力を分散させてしまうもっとも簡単な方法である。マルチタスクをしている時、我々の注意力は複数のタスクをいったりきたりしているのだ。そして、マルチタスクが習慣化してしまうと、脳みそは常に複数の事象をいったりきたりするようになる。つまり、一点集中することができなくなるのだ。

2. デジタルデバイスによる絶え間ない通知(デジタルノイズ)

ミャンマーの村で、デジタルデバイスを傍らに置き、深い集中力を発揮して高齢者を治療するカイロプラクターの様子。

スマートフォンやパソコンからの通知は、我々の意識を「今、ここ」から強制的に引き剥がす。予期せぬ通知音や画面のポップアップは、意図せずマルチタスクを強要されているのと同じ状態を引き起こすのだ。

この点について、私は先週、興味深い体験をした。ミャンマーのタウンドィンジー村に4日間滞在したのだが、そこは日中完全にネットと断絶された状態であった。LINEやInstagramの通知など一切届かない、デジタルから完全に切り離された世界である。その村のチャンミ瞑想センターの診療所で、大門君と私がカイロプラクティックのボランティア治療を行ったのだが、その際、かつてないほど指先の感覚が研ぎ澄まされ、今まで以上に深い集中力が発揮できている明確な感覚があったのだ。

目の前の患者のわずかな筋肉の緊張や、関節の微細な動きを感じ取るべき指先から、通知一つでいとも簡単に意識は飛んでいってしまう。指先から伝わる微細な変化を読み取れた時、カイロプラクターとしての仕事のやりがいを強く再認識できる。診療中は当然のこと、日常から「通知に支配されない時間」を持つことが、一点集中を養うためには不可欠である。

ミャンマーのタウンドィンジー村にて、カイロプラクティックのボランティア治療活動に参加した日本人男性2人と、現地の女性2人が、伝統的な竹造りの高床式住居の前に並んで立っている様子。

3. 心身のコンディションの乱れ

カイロプラクターにとって心身の健康状態はとても重要であり、これも治療中の集中力、ひいては仕事のやりがいに大きな影響を及ぼす要素である。心身が病んでいる状態では、当然ながらベストなパフォーマンスを発揮することなど到底不可能だ。

従って、普段から生活習慣(食習慣、毎朝のウェイトトレーニングなどの運動習慣、睡眠習慣)を整え、それに加えて日々のヴィパッサナー瞑想などで心のコンディショニングを欠かさないことが、治療中の集中力を高めるためには必須なのだ。

榊原直樹

この記事を書いた人:榊原 直樹

徒手療法大学 学長 / 米国公認ドクター・オブ・カイロプラクティック (DC) / 医学博士 (PhD)

1998年に米国カリフォルニア州でDCライセンスを取得し、ロサンゼルスで10年間臨床に従事。帰国後、岐阜大学医学部にてスポーツ医学の医学博士号を取得。現在は名古屋駅前での臨床の傍ら、徒手療法大学(名古屋・神戸・札幌)の学長として後進の育成に尽力している。
2000年よりヴィパッサナー瞑想を実践し、毎日の瞑想を日課とする。心身両面からのアプローチを探求し続けている。

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カイロプラクターが集中力を高め、患者の背中の微細な変化を指先で読み取っている施術風景。
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