【記事概要】
名古屋校で開催されたテクニック練習会のレポートです。徒手療法大学2期生による「チャレンジテストを用いた頸椎の矯正方向検出」の症例報告をはじめ、腰椎・頸椎の実技練習、そして神戸校・徳山先生による環椎(C1)マニピュレーションの劇的な改善例を共有しました。本記事では、大きな可能性を秘める上部頸椎アジャストメントの効果と、それに伴うリスク、そして正確な評価がいかに重要であるかについて解説します。
本日は名古屋校にて、隔月で開催されているテクニック練習会が行われました。今回は、実技講習に加えて実施しているこの練習会を通じ、上部頸椎のアジャストメントにおける可能性と、それに伴うリスクについて深く考えさせられる有意義な時間となりました。
上部頸椎アジャストメントの鍵となる正確な評価(チャレンジテスト)
最初は、徒手療法大学2期生の稲垣さんによる症例報告のプレゼン発表でした。テーマは「頸椎の運動痛に対するチャレンジを利用した矯正方向の検出の成功例」です。
今回のケースは、不眠を来院理由とする65歳の女性(元ヨガインストラクターの専業主婦)でした。不眠は交感神経の過活動や副交感神経機能低下といった自律神経の乱れと関連することが多くあります。頸部には星状神経節や上頸・中頸神経節などの交感神経節が存在するため、頸椎周辺の関節機能や筋緊張が自律神経に影響する可能性があります。
頸部の機能評価として自動運動検査を実施したところ、右側屈時に左頸部に疼痛が現れ、側屈および回旋の可動域制限が認められました。そこで、疼痛の関与部位および矯正方向を検討する目的で、患者様の「痛み」をセンサーとして用いるチャレンジテストを実施しました。
結果として、C2付着筋(中斜角筋)の抑制や下部頸椎前方変位を疑ったチャレンジでは疼痛に変化がありませんでした。しかし、上部頸椎前方変位を疑ってチャレンジを行ったところ、見事に右側屈時の疼痛が消失したとのことです。施術の迷いを減らし、評価の客観性を補う指標としてチャレンジテストを活用した、素晴らしいケース発表でした。
上部頸椎アジャストメントの劇的な効果と潜むリスク
プレゼンの後は、腰椎のマニピュレーションテクニックについて復習と練習を行いました。さらにその後は、本日の核心でもある頸椎(特に上部頸椎)のアジャストメントテクニックについて集中的に復習と練習を実施しました。
最後に、神戸校の徳山先生から最近診られたケーススタディについてお話しいただきました。右上肢全体の筋力低下を起こしていた野球選手のケースで、環椎(C1)のマニピュレーションを行った直後に筋力がほぼ改善したという、大変興味深い報告でした。
この劇的な変化は、改めてカイロプラクティックが持つ大いなる可能性を実感させてくれます。しかしそれと同時に、もし評価やアジャストメントの方向を誤れば「これが全く逆に作用してしまう恐れもある」という、上部頸椎に対する徒手療法特有のリスクも強く感じました。神経系への影響が極めて強い部位だからこそ、正確な検査と緻密な技術が不可欠です。リスクを最小限に抑え、最大の効果を引き出すための責任の重さを、改めて深く認識させられる内容でした。
次回の練習会は5月31日(日)に決まりました。これからも臨床で結果を出せる安全なカイロプラクターを育てるため、共に研鑽を積んでいきましょう。

この記事を書いた人:榊原 直樹
徒手療法大学 学長 / 米国公認ドクター・オブ・カイロプラクティック (DC) / 医学博士 (PhD)
1998年に米国カリフォルニア州でDCライセンスを取得し、ロサンゼルスで10年間臨床に従事。帰国後、岐阜大学医学部にてスポーツ医学の医学博士号を取得。現在は名古屋駅前での臨床の傍ら、徒手療法大学(名古屋・神戸・札幌)の学長として後進の育成に尽力している。
2000年よりヴィパッサナー瞑想を実践し、毎日の瞑想を日課とする。心身両面からのアプローチを探求し続けている。