後頭下筋群のリリースと頸椎の病態

本日、徒手療法大学名古屋校にて実技講習会が開催されました。 前回の講習会に続く内容で、今回も非常に密度の濃いセッションとなりました。

後頭下筋群のリリースと頸椎の病態

テクニック講習は前回の続きからスタートし、まずは後頭下筋群(小後頭直筋など )のリリース実技を行いました。

後頭下筋群は、その深層にある後環椎後頭膜 を介して脊髄硬膜と解剖学的に連結している 点が非常に重要です。この領域の機能障害は、硬膜を介して間接的に刺激を及ぼす可能性があります

また、小後頭直筋には1gあたり36個という非常に高密度の固有受容器(筋紡錘)が存在し 、大殿筋(0.8/g )とは比べ物になりません。このため、頭頸部の位置感覚や姿勢維持に重大な役割を果たしており 、ここの機能低下が立位バランスの低下と関連することも報告されています

頸椎の主要な病態

実技の後は、臨床で遭遇する頻度の高い頸椎の病態について、スライドを用いながら解説を行いました。

頸椎椎間板ヘルニア (Cervical Disk Herniation)

  • 30歳~50歳に好発します
  • 最も多いレベルはC5/C6です
  • 症状としては、神経根の圧迫・刺激 による上肢への関連痛 や筋力低下 が挙げられます。
  • C6(C5/C6ヘルニア ): 母指への感覚障害 、上腕二頭筋や手関節伸筋群の筋力低下
  • C7(C6/C7ヘルニア ): 中指への感覚障害 、上腕三頭筋や指伸筋群の筋力低下

後縦靭帯骨化症 (OPLL)

  • 日本において神経性障害の原因としてよくみられる疾患です
  • 40歳以上に認められ、30歳以下ではまれです
  • 骨化のパターンには、椎体後部の局所的なもの(分節型)や、複数の椎体をまたぐもの(連続型)などがあります
  • 最も多いレベルはC4 (73.2%)、次いでC5 (69.0%)、C3 (57.7%) となっています

胸郭出口症候群 (TOS)

  • 腕神経叢 や鎖骨下動静脈 が圧迫されることによって生じる、上肢の痛み、感覚麻痺、筋力低下などの状態を指します
  • 上肢の挙上 や頭頸部の運動に伴い症状が悪化するのが特徴です
  • 分類としては、圧迫部位により斜角筋症候群 、肋鎖症候群 、小胸筋症候群 などがあります。

胸椎セクション:肋間筋・腹直筋のリリース

講習会の後半は胸椎セクションへと移行し、体幹前面のリリース実技に入りました。

肋間筋(外肋間筋・内肋間筋) 呼吸に不可欠な肋間筋のリリース

  • 外肋間筋: 肋骨を挙上させ 、吸気を助けます
  • 内肋間筋: 肋骨を下制させ 、呼気を助けます

肋間筋の問題は、局所的な鋭い痛み や、呼吸・体幹の動きに伴う痛みを引き起こす ことがあり、肋骨骨折との鑑別が重要です

腹直筋、胸郭と骨盤を繋ぐ腹直筋のリリース

  • 第5~第7肋軟骨などに起始し 、恥骨に停止します
  • 胸郭の引き下げや体幹の屈曲に作用します
  • 症状としては、体幹伸展時の痛み や、起始・停止部付近の硬結 として現れることがあります。

後頭下から胸腹部まで、非常に内容の濃い一日となりました。 本日もご参加いただいた皆様、長時間の講習お疲れ様でした。

徒手療法大学名古屋校の実技講習レポート。後頭下筋群のリリース、頸椎ヘルニア・胸郭出口症候群の病態解説、さらに胸椎セクション(肋間筋・腹直筋のリリース)までを網羅。

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監修・執筆

徒手療法大学の学長、榊原直樹

徒手療法大学 学長 / 米国公認D.C. / 医学博士 榊原 直樹

日米通算28年の臨床経験を持つカイロプラクター。 「臨床で使える本物の技術」を伝えるべく、解剖学・生理学をベースにした神経マニピュレーションやアジャストメント技術の指導を行う。自身も毎朝のトレーニングと瞑想を欠かさず、心身のアップデートを実践。ミャンマーの孤児院や病院でのボランティア活動を通じて、医療の原点を見つめ続けている。

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