本日、徒手療法大学名古屋校にて「胸椎・肋骨」をテーマにした実技講習を行いました。
胸椎や肋骨周辺というエリアは、臨床において非常に奥深い領域です。従って、単なる「背中の痛み」として片付けてしまうのは短絡的です。
今日学んだように、肋間神経痛や椎体圧迫骨折、あるいは内臓からの関連痛(胃、膵臓、腎臓など)といった病理・生理学的な背景を常に鑑別しながらアプローチする必要があります。
特に今回は、筋膜リリースの実技に重点を置きました。
姿勢維持に関わる上後鋸筋や僧帽筋、広背筋への介入。T4症候群に見られるような交感神経系への影響まで考慮し、指先の感覚を研ぎ澄ませていく作業です。
講義中、私が何より感銘を受けたのは、生徒の皆さんの「眼差し」でした。 誰一人として気を抜くことなく、食い入るようにデモンストレーションを見つめていました。
ペアワークでは汗をかきながら手技の習得に励んでいました。その熱気と真剣さは、指導する私にとっても非常に心地よいものでした。

しかし、ここで一つ、皆さんに改めて伝えておきたいことがあります。
「練習を、ただの練習だと思ってやってはいけない」
実技室で友人の体を借りて練習している時、その手を「練習台」に置いているのか、それとも「苦しんでいる患者さん」に置いているのか。その意識の差は、指先のタッチに明確に表れます。
臨床の現場に出れば、教科書通りの体をした患者さんは一人もいません。今日学んだ解剖学的知識をベースにしつつも、目の前の生きた身体と対話する。その緊張感と責任感を、日々の練習の中に持ち込むこと。これを「マインドセット」として定着させることが何より重要です。
カイロプラクターとしての「進化」は、一朝一夕になされるものではありません。 今日行ったような地道な触診、反復練習、そして医学的知識の積み重ね。これらを愚直に継続した者だけが、10年後、20年後に本当の意味での成果を手にし、大輪の花を咲かせることができます。
近道はありません。 今の「本気」の積み重ねが、未来のあなたの手を作るのです。
今日皆さんが見せてくれたその真剣な姿勢を、明日からの日常でも持ち続けてください。素晴らしい講義でした。

徒手療法大学 学長 米国公認ドクター・オブ・カイロプラクティック(D.C.)/ 医学博士
ロサンゼルスでの10年の臨床経験と、医学的エビデンスに基づいた教育を日本に広めるべく活動中。名古屋駅前での臨床歴は18年を数える。「真のカイロプラクターは一朝一夕ならず」を信条とし、毎朝の筋トレと瞑想を欠かさない実践者でもある。技術だけでなく、患者と向き合う「心」を育てることに情熱を注いでいる。