皆さん、こんにちは。学長の榊原です。 「仕事ができる人の当たり前」という書籍があります。そこで語られていた「本は最後まで読まなくていい。自分を変える1行に出会えば十分だ」という考え方は、私が25年以上続けている瞑想の本質、そして今のカイロプラクティック業界が直面している課題と深く共鳴するものでした。
情報の海で溺れないための「鑑別能力」
今、世の中には膨大な量の情報があふれています。カイロプラクティックの世界も例外ではありません。SNSや動画サイトを開けば、新しいテクニックやエビデンスが次々と目に飛び込んできます。
しかし、それらの情報をすべて網羅することは不可能ですし、そもそもその必要はありません。 必要なのは情報の取捨選択です。自分にとって必要な情報を鑑別していく能力——。今後はこの能力がとても重要となってくることでしょう。

洞察力を育てる「今ここへの集中」
この情報の取捨選択の際に、何より必要となるのが「洞察力」です。そして、洞察力を育てる唯一の方法は、「今ここ」への集中を何度も反復することに他なりません。
2000年にヴィパッサナー瞑想に出会って以来、私は毎朝晩30分の瞑想を日課としていますが、これは単なるリラクゼーションではありません。「今ここ」の呼吸や感覚に意識を留め続ける訓練です。
私たちカイロプラクターにとっての「今ここへの集中」とは、まさに治療中の手の感覚への集中のことです。 患者さんの脊椎に触れ、その微細な可動性や組織の抵抗感を感じ取る。その一瞬の指先に全神経を注ぎ込む反復こそが、ノイズに惑わされない鋭い洞察力を養います。
臨床をベースに優先順位をつける
プロのカイロプラクターであれば、手に入れた情報がいかに「実践(臨床)」に活かされるかが、鑑別のもっとも重要な基準となります。
「この知識は、今触れているこの手の感覚を裏付けてくれるか?」 「この情報は、患者さんの苦痛を和らげる一助になるか?」
臨床現場をベースにして情報の取捨選択を行い、優先順位をつける。動画で語られていた「自分に刺さる1行があれば本を閉じていい」という教えも、その「1行」を臨床で使い倒し、手の感覚へと落とし込むプロセスがあってこそ生きてきます。

結び
仕事ができる人の「当たり前」とは、博識であることではなく、自分にとって何が大切かを研ぎ澄まされた感覚で選択できることです。
情報の波に呑まれそうになったら、一度本を閉じ、スマホを置いて、静かに座ってみてください。 100冊を読破することよりも、指先に全神経を集中させて得た「臨床の気づき」の方が、あなたの治療家人生をより豊かに変えてくれるはずです。
まとめ:情報に溺れず、指先に真実を見る
今の時代、膨大な情報をすべて追う必要はありません。大切なのは、以下の3つのステップで「カイロプラクティックの洞察力」を磨き続けることです。
情報の鑑別: 「その情報は、明日の臨床(実践)に活きるか?」という明確な基準で、情報の取捨選択を行い、優先順位をつけること。
「今ここ」への反復: 情報収集で頭を一杯にするのではなく、瞑想のように「今ここ」に集中する訓練を繰り返すこと。
手の感覚への集約: カイロプラクターにとっての真実は、常に患者さんの身体に触れる「手の感覚」の中にあります。研ぎ澄まされたその指先こそが、情報のノイズを払い、最善の治療へと導く唯一の道となります。
知識を「増やす」段階から、必要な知恵を「選び抜く」段階へ。 共に、揺るぎない洞察力を持つ治療家を目指していきましょう。
徒手療法大学では、単なる手技の伝達だけでなく、臨床現場で真実を見抜くための『洞察力』と『手の感覚』を科学的に磨くカリキュラムを提供しています。さらに深く学びたい方は、ぜひお問い合わせください。
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著者プロフィール

榊原 直樹(Naoki Sakakibara) 徒手療法大学 学長 / 医学博士 / ドクター・オブ・カイロプラクティック
1998年、米国カリフォルニア州にてドクター・オブ・カイロプラクティック(D.C.)のライセンスを取得。ロサンゼルスで10年間の臨床経験を積んだ後、2007年に帰国。2009年、名古屋駅前にカイロプラクティック治療院を開院。2015年には岐阜大学大学院医学系研究科にてスポーツ医学の医学博士号を取得した。
現在は臨床の傍ら、徒手療法大学の学長として後進の育成に注力。自身の研究論文は『Journal of Physiological Anthropology』をはじめとする国際的な医学誌に多数掲載されている。
2000年よりヴィパッサナー瞑想を開始し、毎朝晩30分の瞑想を25年以上欠かさず継続。また、大学時代に始めたボディビルにおいても毎朝1時間のトレーニングを日課とし、知性・肉体・精神を高い次元で統合した独自の臨床哲学を提唱している。