【学長コラム】私の原点(9)〜カイロプラクティックを学ぶアメリカ留学。本場のゴールドジム体験と深夜のルームメイトトラブル〜

【前回のあらすじ】
ロサンゼルスでのカイロプラクティック留学は、重い荷物を引きずって深夜の街を彷徨うという、絶望的なトラブルから幕を開けた。親切なビデオ店の女性に窮地を救われ、翌朝には無事に学生寮(ドミトリー)への入居を果たす。さらに、寮のすぐ近くで当時のボディビルダーの聖地「ゴールドジム」を発見し、狂喜乱舞して即入会!しかし、部屋に戻るとそこには英語がほとんど通じない、物静かなルームメイトの姿があった……。

▶︎ 前回の記事:【学長コラム】私の原点(8)〜カイロプラクティックを学ぶアメリカ留学。ロサンゼルスの朝日と憧れのゴールドジム〜

破格の安さ!アメリカ留学中の筋トレは憧れのゴールドジムで

アメリカ留学の本格的なスタートを切った私は、さっそく憧れのゴールドジムの受付で入会手続きを終えた。ちなみに年会費は240ドル、つまり月額わずか20ドルという破格の安さだ。この値段でこれだけの設備が使えるなんて、まさに夢のようだった。

あらかじめドミトリーでトレーニングウェアに着替えてきていた私は、ふと驚くべきことに気がついた。ここでは土足のままトレーニングができるのだ。当時の日本では、土足OKのジムなど皆無に等しかった。

それにしても、フロアには雑誌のグラビアでしか見たことのない最新鋭のマシンばかりが並んでおり、完全に目移りしてしまった。ちょうど昼時で利用者が少なかったこともあり、ほとんどのマシンが空いている状態だった。

「ここにあるすべてのマシンを試したい!」

そんな抑えきれない衝動に任せて、私は端から順にすべてのマシンでトレーニングを開始した。今まで味わったことのないような、強烈な筋肉への刺激。どのマシンも、狙った筋肉にダイレクトに負荷がかかるよう計算し尽くされて設計されているのがわかる。

夢中でトレーニングを続けること約3時間。ようやくすべてのマシンを使い終えた頃には、完全にへとへとになっていた。言うまでもなく、翌日は過去最高レベルの、しかも全身の激しい筋肉痛に見舞われることになる。

トレーニングを終えてジムの外に出ると、なんと隣にサプリメントストアが併設されていた。当時の日本ではサプリメント専門店など考えられない時代だ。迷わず中に入ると、そこには見たこともないサイズのプロテインが鎮座していた。バケツに入った10kgのプロテイン……しかも価格はたったの20ドル。

プロテインだけではない。ボディビルダーが泣いて喜ぶようなマニアックなサプリメントが、所狭しと棚に並べられている。ただ眺めているだけでも一日中過ごせそうな夢の空間だった。もちろん、先ほどのバケツプロテインは即買いした。

広く、モダンなGold's Gymでハックスクワット・レッグプレスマシンを使用してトレーニングを行う、東北大学のTシャツを着たアジア人男性。

深夜の騒音!非常識なルームメイトとのトラブル勃発

特に行く当てもなかったので、とりあえずドミトリーへ戻ることにした。ドミトリーは朝晩の2食付きだ。先ほど購入したばかりのアメリカンサイズのプロテインを飲み、晩御飯の時間までゆっくりと身体を休めた。

夕食は典型的なアメリカンスタイルで、パスタやパン、それに生野菜といった簡素なものだった。食に対して強いこだわりはなかったので、私にとってはまったく問題なかった。

部屋に戻ってからは、とりあえず英語の勉強に取り掛かった。少しずつ、ここロサンゼルスでの生活ルーティンを確立していかなければならない。あの大人しいルームメイトは、まだ戻ってきていなかった。

それから数日が経過した。初日に顔を合わせたあのルームメイトとは、たまに顔を合わせる程度で、ほとんど生活時間を共有することはなかった。相変わらず英語でのまともな挨拶も成立しない状況だったため、顔を合わせてもお互いに愛想笑いを浮かべる程度だった。

さらに数日が過ぎた、ある晩のこと。時刻は深夜1時を回っていた。

当然ながら私は完全に爆睡していた。しかし、部屋の中が何だかひどく騒々しいことに気づき、目を覚ました。

寝ぼけた頭ですぐに状況を理解した。なんとルームメイトが自分の友人たちを部屋に連れ込み、私が寝ているのにもお構いなしで、大声で談笑していたのだ。まさか、こんな形でアメリカ留学早々にルームメイトとのトラブルが起きるとは思いもしなかった。

さすがの私にも限界がきて、完全にブチ切れた。

「うるさい! お前ら全員、今すぐ部屋から出ていけ!!」

怒りに任せて英語でまくし立てた。私の凄まじい剣幕に度肝を抜かれたのか、彼らは一言も発することなく、逃げるように部屋から出て行った。それにしても、彼らの非常識極まりない振る舞いには唖然とするしかなかった。

アメリカ留学 ルームメイト トラブルの様子:深夜1時のドミトリーで、東北大学のTシャツを着た寝起きのアジア人男性がベッドから怒鳴り、慌てて逃げ出すルームメイトとその友人たちを指差して追い出している写真。

ルームメイトが逃亡?広いドミトリーを一人占め

それから数日後。彼の私物は、部屋から跡形もなく消え去っていた。

そう、彼はこの部屋から逃げるように出て行ったのだ。結果的に、私はその後このドミトリーを退去するまでの間、ずっとこの広い2人部屋を1人で悠々と独占することになったのである。

あの深夜のトラブル騒動から、数週間が経過した。

朝と晩はゴールドジムでのトレーニングに没頭し、日中は黙々と英語の勉強に打ち込む。そんなアメリカでの新しい生活ルーティンにもすっかり慣れ、落ち着きを取り戻し始めていた頃だった。

ある日、部屋で一人机に向かって勉強をしていると、突然ドアを叩く音が響いた。

これまで広い2人部屋を悠々と独占していた私だが、「ついにこの日が来てしまったか……」と内心で覚悟を決めた。当然、新たなルームメイトがやってきたのだと思ったのだ。

しかし、重い腰を上げてドアを開けた私の目に飛び込んできたのは、まったく予想だにしない人物の姿だった。
(続く)

東北大学のロゴ入りグレーTシャツを着た日本人男性が、乱雑な寮の部屋のベッドに座り、開いたドアの方向を驚いた表情で見つめている様子。

榊原直樹

この記事を書いた人:榊原 直樹

徒手療法大学 学長 / 米国公認ドクター・オブ・カイロプラクティック (DC) / 医学博士 (PhD)

1998年に米国カリフォルニア州でDCライセンスを取得し、ロサンゼルスで10年間臨床に従事。帰国後、岐阜大学医学部にてスポーツ医学の医学博士号を取得。現在は名古屋駅前での臨床の傍ら、徒手療法大学(名古屋・神戸・札幌)の学長として後進の育成に尽力している。
2000年よりヴィパッサナー瞑想を実践し、毎日の瞑想を日課とする。心身両面からのアプローチを探求し続けている。

名古屋・神戸・札幌のカイロプラクティックスクール|徒手療法大学ではカイロプラクティックを学びたいという将来のカイロプラクターを募集中です。

アメリカ留学中の対照的な日常を描いたイラスト。左側は憧れのゴールドジム前で10kgの巨大プロテインを抱えて喜ぶ姿、右側は深夜のドミトリーで非常識なルームメイトを一喝して追い出しているトラブルの様子。
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